中国茶の美味しい淹れ方(準備編)
茶芸館や専門店での中国茶の淹れ方は芸術的でパフォーマンス性があり見ているだけで楽しいものです。そんな中国茶を家庭で、自分でも気軽に淹れることが出来たらと、あこがれる方も多いでしょう。
本格的なお茶道具がなくても 基本的なことを知っていれば中国茶は誰でも楽しむことができます。豊かな気分になれる中国茶の淹れ方を お伝えしていきましょう。
1 おいしい中国茶を淹れるための準備

1-1 中国茶の買い方と保存法
良い茶葉の選び方
良い茶葉にはつやがあります。古いものや湿ったものは、つやや輝きがありません。
見た目や香りを確かめて、試飲ができたら試してみましょう。
美味しい中国茶葉を選ぶポイント
茶葉が完全に乾燥していてカラッとしていること
崩れたり、壊れたりしていない葉の形のそろったもの
「より」が固くてしっかりしているもの
たくさん買いすぎると 鮮度が落ちるので100gくらいがおススメです
茶葉の保存法を知って、いつも美味しく
良い茶葉は長く美味しく飲みたいものです。開封後は以下を参考に保存しましょう。
中国茶葉を保存するときのポイント
茶葉の質にもよりますが、緑茶で3か月、紅茶で半年程がおいしく飲める期間です。封を開けると酸化が始まり香りも弱まっていきます。
湿気を避けましょう。乾燥した茶葉が湿気を吸うと劣化が早まります。高温多湿な梅雨時期などは 特に密閉状態で保管しましょう。
お茶は消臭剤の材料として使われるくらい 他の香を吸収します。置く場所に気を付けてください。
日光や光が当たると変質しやすいので 暗いところで保管します。
冷蔵庫には入れません。冷蔵庫から出すたびに温度差があるのでかえって湿気が付きますし冷蔵庫内の匂いが移ってしまいます。
知っておきたい家庭での保存法
茶葉の購入は100gくらいがおススメです。それぐらいの量でしたら、ジッパー付きの袋に乾燥材と共に入れておきましょう。梅雨時期でしたら50gずつくらいの小分けにすると良いでしょう。透明な袋は光を遮るように さらに黒い袋や缶などに入れると安心です。
300gや500gの茶葉を買ったときは1週間分くらいの茶葉を小分けにし残りは、密閉ビニール、さらに茶筒や密閉容器で冷蔵庫の野菜室で保管しましょう。茶葉は1回あたり3g程度で良い茶葉なら3杯お湯で抽出できますので、茶葉を1日2回変える頻度ならば50gずつで1週間分くらいです。
1−2中国茶を淹れる水について
良い水の選び方 中国茶が美味しく淹れられるかは、良質な淡水で7割ほど左右されます。日本は世界的に淡水に恵まれている淡水大国で、外国の方々から羨ましいと言われます。(アラブの国では淡水が石油の五倍の価格です。)そして、淡水にも実はレベルがあるのです。 美味しい淡水を選ぶポイント ・地域的に上水と下水の管理が徹底していて衛生環境が整っている
・高山の麓で湧き出ていて、その湧き出ている場所でさえも標高が高い
・湧き出ている、流れている水は腐りませんので、新鮮なまま水を汲める
・水の質が良い土地は、無農薬・無化学肥料で永続的に農第一産業が成り立っている
・山から大変美しい川が流れている(昔から鮎・山女がいる場合はそのまま飲める)
・探す時は、まず山・川・湧水池が集中している地域かを地図で確認しましょう。
日本はご先祖様が代々水と土地を大事にしてきましたので、豊富に淡水があるのです。水道水でさえも品質が高いので、消毒に使われている塩素を減らしていき、皆様が生活に使っている中性洗剤を石油由来ではないシンプルな石鹸に変えれば、水の品質が一層よくなるでしょう。
家庭の水道水を美味しくする方法
・検査されている浄水装置を使って、塩素と洗剤類を除去する
(そもそも石油合成の中性洗剤を避けシンプルな石鹸など自然分解の洗剤が良い)
・浄水装置がなければ竹炭を入れて一晩おく。竹炭も定期的に交換する。
・水を元気にするために、水晶を入れたガラス瓶に保存する。
・水道水を十分に沸騰させてカルキ臭を完全に抜いて使う。
・ボトル詰めの水には酸素が少ないので お茶の旨味が出にくくなります。
2そろえてみたい中国茶の基本の道具

中国茶を初めて淹れるときに悩むのが道具です。日常で代用して使えるものが、たくさんありますのでご安心ください。まずは基本の道具たちをご紹介いたします。
2−1茶壺(チャフー)
ティーポットや急須のこと。中国・宜興(ぎこう)で作られている「紫砂茶壺」(しさちゃふう)が最上級品と言われています。
大きさや色も豊富にあります。おろしたての土製の茶壺は土臭さが残っているので鍋で弱火で20~30分コトコト煮ます。お湯から引き揚げて、蓋をせずに完全に乾かします。
2−2茶杯(チャーペイ)
お茶を飲む小さな茶碗(30-50ml)。おもてなしの際は、お客様のお茶が無くなったらすぐに注いで差し上げるのが礼儀となっています。お客様は「もう少し経ってからで大丈夫ですよ」「もう十分です」とお断りすることもできます。
2−3聞香杯(ウェンシアンペイ)
お茶の香りをかぐための器。香りが上に昇りやすいように、細長い縦の形状です。素焼きの物は香りが吸収されてしまうので釉薬がかかった、薄手のものが適しています。
2−4蓋椀(ガイワン)
蓋のついた茶碗のこと。直接茶葉を入れて茶壺代わりに使い茶杯にお茶を注ぎ分けたりそのまま蓋をずらせて直接飲んだりします。自分の手に馴染んで持ちやすいものがおススメです。
2−5茶海(チャーハイ)
茶壺で淹れたお茶を茶杯に注ぎ分ける際に 濃さを一定にするために茶壺から一度茶海にお茶をあけてから 茶杯に注ぎ分ける。香りを吸いやすいので、最初に購入するものは素焼きの物ではないほうが良いでしょう。
2−6茶盤(チャバン)
茶壺や茶杯を温める為に、お湯をかけます。そのお湯を受ける盤となる道具です。材質も竹製、陶器、木製、プラスチック製などがありサイズもいろいろあります。
2−7茶通(チャツウ)茶狭(チャキョウ)茶則(チャソク)
茶通(チャツウ)は茶壺の口の茶葉のつまりを取り除くものです。
茶狭(チャキョウ)は茶葉を摘まんだり、熱した茶杯の湯を捨てるときに挟んで使います。
茶則(チャソク)は茶葉をすくって、茶壺や蓋椀に入れるための道具です。
これらの茶道具は、竹のような木製で、木のしなる動きを利用しています。
2−8水盂(スイウ)
器を温めた湯や茶葉を捨てるための器です。
他の道具類と雰囲気が合っていれば、代用品のお皿でも良いでしょう。
まとめ
美味しくなる秘訣を端的に表現すると、茶葉の質:水の質:環境といれ方=2:6:2です。全てを完璧に準備するのは難しいですから、この配分で準備する気持ちで挑戦することをお勧めします。なお、道具について、目安の大きさと形状を一覧表でまとめましたので、参考にして、美味しくいれてみてくださいね。
